産後に腱鞘炎が起こる原因
育児中は授乳や沐浴、抱っこなど手首を長時間使う動作を毎日繰り返します。利き手と逆の手で頭を抱えることが多いので、右利きの人は左手首を、左利きの人は右手首が腱鞘炎になりやすくなります。両方痛くなる方もいらっしゃいます。
手首は人体の中でも筋肉量がもっとも少ない部位のひとつなので疲労がたまりやすいのに、産後は必然的に酷使してしまいます。
もう一つ大きな要因はリラキシンとエストロゲンというホルモンの分泌量です。妊娠中リラキシンの分泌量は増加し、産後はエストロゲンの分泌量が減少します。
リラキシンには靭帯を緩ませる作用があることは前にもご説明しましたが、これは手首の腱にも作用するので緩くなってしまいます。
エストロゲンには炎症による腫れなどを改善したり腱の動きをなめらかにする作用があり、腱鞘炎の発症を抑制していると考えられています。そのため、エストロゲンの分泌が減少する産後は、腱鞘炎を発症するリスクが高い時期だといえます。
痛みが出にくい対処法
使わないことが改善への近道ですが、育児は待ったなしですね。サポーターをして固定することで痛みを緩和させることが可能です。しかし、サポーターをすると水仕事をするときには外す必要があり、生活の中では少し不便に感じる方もいらっしゃいますね。
痛みが出にくい仕草として手首を返さないように生活することも重要です。例えば少しでも手のひらを使わないようにすることで手首への負担は減ります。特に抱っこに仕方は工夫するとかなり楽になります。
痛みの出てくい抱っこの仕方
横抱きの場合:手首を返さず両手を繋ぐようにして抱っこしてみてください。
縦抱きの場合:前腕の甲でお尻を支え、もう一方の手で頭や首を支えてみてください。
当院では赤ちゃんの抱っこの仕方の指導もいたします。
痛みの出にくい授乳の仕方
授乳時は授乳まくら(クッション)をご使用ください。1日に8-10回ある授乳なので面倒で使用されていないママさんがいらっしゃいますが、頻度が多いからこそ正しい方法で行なっていただきたいです。赤ちゃんをまくらの上に乗せた状態で授乳するため、手のひらの役割は頭の向きを変えるだけになり、負担が軽減されます。高さが足りない時はタオルなどを入れて調整しましょう。
※ママの胸(おっぱい)を赤ちゃんに近づけないようにしてください。そうしてしまうと猫背や肩こりの原因になってしまいます。